これは清兵衛という子供と瓢箪との話である。この出来事以来清兵衛と瓢箪とは縁が断れてしまったが、まもなく清兵衛には瓢箪に代わる物ができた。それは絵を描くことで、彼はかって瓢箪に熱中したように今はそれに熱中している….说的是名叫清兵卫的孩子与葫芦的故事。自从发生了这件事情以后,清兵卫与葫芦的缘分就断了。但是不久清兵卫又找到了代替葫芦的爱好,那就是绘画。于是他就像曾经痴迷葫芦那样又对绘画着了迷···清兵衛が時々瓢箪を買って来ることは両親も知っていた。三四銭から十五銭ぐらいまでの皮つきの瓢箪を十ほども待っていたろう。彼はその口を切ることも種を出すこともひとりで上手にやった。栓も自分で作っだ。最初茶渋で臭味をぬくと、それから父の飲みあました酒を貯えておいて、それでしきりに磨いていた。清兵卫常常买些葫芦回来,这件事他的父母也是知道的。他有十来个价钱从三,四钱到十五钱不等的带皮的葫芦。他能一个人很利索地切开葫芦嘴,取出里面的瓜子儿。嘴盖儿也是自己做的。他先是用茶垢除去葫芦的气味,然后用自己一点点积攒起来的父亲喝剩下的酒不厌其烦地反复地擦拭。全く清兵衛の凝りようは烈しかった。ある日彼はやはり瓢箪のことを考え考え浜通りを歩いていると、ふと、眼に入ったものがある。彼ははっとした。それは道端に浜を背にしてズラリと並んだ屋台店の一つから飛び出して来た爺さんの禿頭であった。清兵衛はそれを瓢箪だと思ったのである。「立派な瓢じゃ」こう思いながらかれはしばらく気がつかずにいた。――気がついて、さすがに自分で驚いた。その爺さんはいい色をした禿頭を振り立てて彼方の横町へ入っていった。清兵衛は急におかしくなって一人大きな声を出して笑った。たまらなくなって笑いながら彼は半町ほど駆けた。それでもまだ笑いは止まらなかった。清兵卫对葫芦迷到了如痴如醉的地步。有一日他像往常一样,一边思考着葫芦的事情,一边走在海滨大道上,突然有一样东西映入眼帘。他吃了已经,那是从路旁排列着的大排档中闪出的一位大爷的光秃脑袋,而清兵卫把它看成了葫芦。“好漂亮的葫芦呀!”恍惚中他梦魇般地说。--定定神以后,就连他自己也吃惊不小。那位大爷摇晃着光滑铮亮的秃脑袋消失在对面的胡同里了,清兵卫突然意识到自己刚才的荒唐便独自放声大笑起来。他一边情不自禁地笑,一边在街上奔跑起来,足足跑了半条街。但笑声依然无法抑制住。これほどの凝りようだったから、彼は町を歩いていれば骨董屋でも八百屋でも荒物屋でも駄菓子屋でもまた専門にそれを売る家でも、およそ瓢箪を下げた店といえば必ずその前に立ってじっと見た。清兵卫对葫芦的痴迷到了如此程度。所以他在街上无论是走到了古董店,还是蔬菜店;是杂货铺还是点心铺,或者是葫芦的专卖店,只要是悬挂着葫芦的店铺,他就必定会停下脚步,目不转睛地看上很久。清兵衛は十二歳でまだ小学校に通っている。彼は学校から帰って来ると他の子供とも遊ばずに、一人よく町へ瓢箪を見に出かけた。そして、夜は茶の間の隅に胡坐をかいて瓢箪の手入れをしていた。手入れが済むと酒を入れて、手拭いで巻いて、罐にしまって、それごと炬燵へ入れて、そして寝た。翌朝は起きるとすぐ彼は罐をあけれ見る。瓢箪の肌はすっかり汗をかいている。彼は厭かずそれを眺めた。それから丁寧に系をかけて陽のあたる軒へ下げ、そして学校へ出かけていった。清兵卫是一个还在上小学的十二岁的孩子。放学后也不跟其他孩子们一块玩儿,常常一个人上街去看葫芦。晚上,他常常盘腿坐在起居室的一角开始摆弄葫芦。弄好之后将酒装入,然后用毛巾将葫芦包起来放进罐子里,
再连罐子一起放进被炉中,然后自己才去睡觉。第二天一起床,他就马上去打开罐子,葫芦的外皮已经沁出许多小水珠。他不厌其烦地端详着葫芦,并且,小心翼翼地用线系上,挂在能见着太阳的屋檐底下,然后再上学去。